『△が降る街とは』とは、ショートショートといわれる1作品5分ほどで読める短編が収録されている村崎羯諦氏の本です。著者村崎羯諦氏の前作でありデビュー作の『余命3000文字』はTikTokなどのSNSでも超話題の作品となっていました。
ショートショート作品は、NHKでも実写ドラマ化された星新一さんが有名ですね。もしかしたらあなたも見たことがあるかもしれません。
この記事は『△の降る街』を読まなくてもあらすじ・内容を簡単に把握できるように書いています。楽しみを半減させないため物語の本質を突くようなネタバレは書かないようにしています。
余命3000文字の続編『△の降る街』とは
『△の降る街』とは村崎羯諦氏のショートショートをまとめた短編集です。
ショートショートという分野は、1作品5分程度で読める作品です。非常に短い短編の分野です。NHKでも実写ドラマ化された『星新一の不思議な世界』の原作者星新一さんもショートショートの分野の大御所といえます。
タイトルに入っている『△』はおそらく、そのまま『さんかく』と読んで良いと思います。カバーのイラストにも三角が降っているのでおそらくそんな世界観なんでしょうね。
キャッチコピーは『5分で読めて、あっと驚き、わっと泣ける』
おすすめの人・おすすめしない人
- 小説を読むのが苦手
- 本をあまり読まない
- スキマ時間にやることない
ショートショートは読書の入門書として非常に読みやすい作品です。物語の冒頭からすぐに世界観に引き込まれる作品が多いので長い解説もありません。
1作品ごとにすぐに読めるので通勤・通学、就寝前のスキマ時間に読むことができます。
- 深く物語の世界に入りたい人
- 物語の世界観を受けられない人
ショートショートは、ほぼ説明なしに私たちの世界では起こり得ることがない『世界観』を何も説明のないまま物語が進みます。「なぜ?」という疑問には、ほとんど答えていません。
もっと深く物語の世界に入りたいなら長編作品をおすすめします。
作者紹介
作者である村崎羯諦氏は『小説家になろう』で年間純文学(文芸)ランキングで1位を獲得した経歴があり2020年にデビューを果たしました。ちなみに『むらさき ぎゃてい』と読むそうです。
デビュー作品は『余命3000文字』です。SNSでも話題になった作品です。小説家になろうとは、日本最大級の小説投稿サイトです。
△の降る街の収録作品あらすじ・解説
△の降る街には、全部で25作品が収録されています。
ネタバレをせずに全収録作品とあらすじを紹介していきます。
△の降る街
私の住んでいる街では、時々三角が降る。三角が降る日は街中の交通機関は止まり、学校も臨時休校となり、人々は家に閉じこもっている。そんなある三角が降る日に初恋の男子から連絡があってー。
文化的な最低限の生活
会社員の満島は健康診断の結果を見て憂鬱になっていた。健康面に問題はなかったが、文化指数が大変低い数値となっていたからだ。『全ての国民には文化的な最低限の生活を営む義務を有する』世界。文化指数が低い会社員の満島は指数を高めるために取った行動とはー。
きっともっとずっとぎゅっと
主人公の女性は、よく小学校の頃の自分と話す夢をみる。それは、いつもクラスメートにイジメを受けていた辛い過去の夢。夢の中の小学校のころの自分に話しかけるのだがー。
ハンカチーフ
主人公の男性はいつものように近所を散歩していると目の前を歩いていた男性がハンカチを落としているのが見えた。落としたハンカチの持ち主は目の前を歩いていた男性のものではなくてー。
からあげが安くて、たくさん食べられるお店
引越しのため不動産屋に部屋を紹介してもらっていた私。不動産屋さんが突然、からあげが安くて、たくさん食べられるお店を紹介してきてー。
思い出放送
ある時間になるとテレビから放送される『思い出放送』。それは見た人の楽しかった思い出が紹介される放送でー。
折りたたみ式彼氏
私の彼氏はハイスペックな彼氏だ。高学歴で、高収入、イケメン。そして何より折りたたみ式ー。
無重力のδ(デルタ)
私の住んでいる世界は枯れつつある。私の好きだった男の子は怪物になりー。
浮気確率63%
突然私は、目も前の男性がどれくらいの確率で浮気するかわかる能力を手に入れた。能力を使って結婚相手を探そうと婚活を始めるのだがー。
絶対に押さないでください
突然自宅に送られてきた不明のボタン。注意書きにのは絶対に押さないでください。押したら地球が滅亡しますー。
食べられるゾンビ
ゾンビウイルスが現れ、この世の終わりだと思った。ただ、ゾンビウイルスに感染してゾンビになった人間は大変美味しくてー。
天国で待ってて
3ヶ月前に亡くなって天国へ旅立った君と電話をした。話を聞くと、天国は想像したところとだいぶ違っていてー。
AIユリア
今より遠い未来にユリアというAIに恋をした男がいた。その男には実は隠された秘密があってー。
イケメンの匂いつき消しゴム
看板を見ずに入った文房具店。私を捕まえた店主は匂いつきの消しゴムをすすめてくる。それはイケメンの匂いのすす消しゴムでー。
笑っちまうかもしれないけど、多分それは愛だ
俺はイエム・パーサーという今までに出会ったことがない飛び抜けて変わった男に出会った。イエム・パーサーは自分を犠牲にしてまで他人を守ろうとした。そんな彼の最後はー。
真面目に地獄行き
新井は審査委員から地獄行きを告げられる。新井は1ヶ月前に急死してしまった。真面目に働いてきた新井だったが地獄行きに審査にはある基準がありー。
胃の中の街
内視鏡検査中、医師から胃の中に街ができていると告げられた。その胃の中の街には住民も住んでいてー。
パラレルラジオ
今週もパラレルラジオの時間がやってきた。この放送は世界戦の分岐によって発生し、それぞれの各並行世界のラジオ局から同時生放送されるというー。
空の博物館
お客様の前に展示されているのは、夕焼けぞらとなります。博物館スタッフの案内に従い、今は見ることの出来ない空の映像に俺は目を向けたー。
My Sweet Orange
先生がクラスの同級生がオレンジの樹になったと話している。思春期にはよくあることだとー。
家族ドラフト会議
家族を野球のドラフト会議のように指名する世界。楢柴家が一巡目に指名をしたのは長男ポジションの花田克明だったがー。
ゼンマイ仕掛けの恋
彼女の背中にゼンマイが付いていたのに気づいたのは付き合い始めてから3ヶ月が経ったある日のこと。僕は彼女に気づかれないようにそっと背中のゼンマイを巻いたのだがー。
仕事と結婚した男
そんなに働くのが好きだったら、仕事と結婚すればいいじゃん。と別れ際に彼女に言われた一言。俺は本当に仕事と結婚をしてー。
きっと私たちは幸せになれない
車に轢かれて事故死をした。私を捨てて駆け落ちをして家を出て行った母親のことが嫌いだった。しかし、生まれ変わった先は、また嫌いな母親の子供だったのでー。
初恋に雪化粧
遅めにやってきた私の初恋が、高校最後の冬をぐちゃぐちゃに掻き乱していくー。卒業したら東京に上京する決意をした私があるできことがきっかけでー。
△の降る街を読んだ感想
前作『余命3000文字』には届かず
ぼく個人の感想ですが、前作でデビュー作でもある『余命3000文字』よりは全体として驚き感は薄かった印象です。ただ、やはり村崎さんのストーリの冒頭の一文は非常に言い回しが素晴らしい作品が多い。今回収録されていた『胃の中の街』の冒頭は「飯塚さんのおの中ですが・・・ちょっとした街ができちゃってますね」(小学館 △の降る街より引用)この冒頭だけで一気に物語中に引き込まれます。
驚き系より恋愛要素の多い作品が多かった
収録されている作品の傾向として、心温まる『恋愛要素』の作品が多かったイメージです。ぼく個人はトラウマになるような物語のラストを見せずに考えさせられる感じの物語が大変好きなので少しだけ物足りなさがありました。
個人的No. 1作品
収録されている25作品のうち、個人的にNo. 1の作品は『ゼンマイ仕掛けの恋』でしょうか。
少しだけあらすじを書いてしまいますが、彼女の背中にゼンマイがあるのを見つけた主人公が『ゼンマイを巻くことで巻いた人を好きになる』という話を聞いて、彼女のゼンマイを巻くんですが、その巻いてる時にだけ自分のことを好きになるということに罪悪感を感じます。そこで彼女にゼンマイを巻いたことを告白するのですが。ショートショートならではのどんでん返しのラストでした。
△の降る街のSNSでの口コミ
ツイッターでも△の降る街を読み終えた実に多くのかたの口コミがありました。
△が降る街 #読了
タイトルが気になって購入した本。
星新一を彷彿させる不思議な世界観+恋愛要素が絡んだ短編も多く収録されていて、着地点のわからない新鮮な感覚に浸れた!
短編に出てくる不思議をどう解釈するかで物語への理解も変わってきそう。余命3000文字も気になります!#本日の本の日本 pic.twitter.com/KE6gyYuTIL— 安原 昂志 (@NIFU9YU6METU0) August 2, 2022
△が降る街 / 村崎掲諦
余命3000文字に続き、こちらも掌編集。私はこっちの方が好き…!本当によくこんな設定を思いつくなあと思う話ばかりで、怖い話も切ない話もあってとにかく幅広いから飽きない。そしてやっぱり短いので先が気になる話もいくつかありました~!#読了 #読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/INexO62qb9
— a m . 読書垢 (@ammmm_557) July 24, 2022
「△の降る街」
「俺と麻里奈、付き合うことになったから」
三人の関係を表したような△が降る街で、選ばれなかった少女は切ない想いを抱く…表題作含め、25編。
前作とは表紙が繋がります(*´∀`*)#読了 #ナカメの読了 #村崎羯諦 #読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/ywjXsuQBJF— ナカメ@読書 (@nakamemekana) July 31, 2022
まとめ
今回の記事では、△の降る街についての読書解説をさせていただきました。25作品が収録されている短編集で非常に読みやすい本となっています。
ぜひ、気になった方はチェックしてみてください。
前作の『余命3000文字』の内容とあらすじも記事にしています。
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